2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

田舎が育ててくれた愛情

関東に久しぶりに雪が降った。 積雪こそしないけれど、朝に車窓からしんしんと降り積もる雪のにおう情景がどこか親密で美しい感じがした。そして雪が降っていたほうが肌に感じる寒さも軽減されるのはどういった理由からなのだろうか。 今日は出産後の友達と…

芥川賞受賞に思う

川上未映子が芥川賞受賞、という報に、嬉しさではなく寂しさがこみ上げてくるのはなぜなのだろう。(精神性において)思い焦がれた人間が遠くへ行ってしまうことの寂しさか、あるいは一つの類稀な才能が権威による承認によって俗化していく寂しさか。いずれ…

自分を見失っていたい

「いつも自分を見失っていたい」と言ったのは辻仁成だったか。気障でナルシズム漂う零句ではあるけれど、自分を見失うっていうのは、しかしたいそうつらいことである。恋煩い・・・まっとうな自己分析ができなくなり、行動が情動的になり、盲目的になるのだ…

君は慈愛を

仕事始めである。いつもの群青色の空気にも、心なしのさわやかな風。 年始の挨拶を取り交わし、ボチボチと仕事に取り掛かる。世界に重い緞帳が垂れこめているように感じられたのはいつ頃からだろうか、ふと感慨が襲う。 埃の積もったレコードプレーヤーに滲…

静謐な始まり

クリスマスから年末年始にかけて、しとしとと過ぎた。みずから望んで静謐さを求めたのだから、結構なことである。クリスマスは同僚たるMさんとしめやかに飲み、年末には彼女の勧めに従って遠藤周作『深い河』を読む。遠藤周作の本をまともに読んだのは初め…