ヘヴン

先週末はアホ友のM美から荷電あり、なんでも家にゴキブリが出たとのことでヘルプミーとのことだったので、月島くんだりまで行ってきた。
たまたまディセントというけったいな、しかし身の毛もよだつホラー映画を観てたばっかりに戦闘態勢になっていたので、気の向くままに出かけ、気の向くままにゴキを退治した。
しかしなんであの生き物は視角がとらえるやいなや反射的に恐怖と殺意をもよおさせてくれるのだろか。きわめて興味深いと思う。
翌日は鎌倉は由比ケ浜で寝転がり、サーファーたちの楽しげな波との戯れを見やりながら茫洋とした気持ちになった。茫洋。
川上未映子の新作を読む。テーマは差別といじめ、そして或る意味次元での信仰とルサンチマン。文章としてはずいぶんと行儀がよくなったなという印象。ただし、文脈の中に脈絡のない不協和音みたいな描写が挿入されたりしていて、これは未映子が特有に持つ狂気を描く特殊な能力なのだと思わされる。例えば、トイレの中で身を潜めた主人公が、トイレの外でひそひそ話をするいじめっ子どもの会話に聞き耳を立てるシーン。教室に現れた百瀬の妹?らしき女が教室に口笛吹いてやってきた百瀬の腕をつかんで(主人公を無視して)百瀬と一緒に教室から出て行くシーン。あんなのはストーリーの構成上いらないといえばいらないのだが、何とも言えない、いじめっ子どもの溌剌とした不気味さを描いていて、現代の寄り道のない愚直なプロットしか描けない作家と一線を画している。
今はショーの『人と超人』を読んでいる。ショーは食わず嫌いだっただけで、実は人間のおもしろ可笑しさを題材にしていて馴染み深いのかもしれないな、と思うこの頃。
明日は隅田川の花火大会、ですな。