いざ鎌倉

昨日は友達のマダ子さんと鎌倉へ行ってきた。
東海道線は大船で降りて、そこから北鎌倉まで歩き、そのまま鎌倉まで足を伸ばした。大船から北鎌倉までは歩いて25分ほどであろうか、雑多な建物が建ちならぶ田舎くさい景観の中、幅狭い歩道をぐいぐい歩いて行き、北鎌倉の駅前に出るやがらりとそれまでの殺風景がなくなって、趣のある寺院や景色が立ち現れてきた。散策に来ている人が多く、愈々歩道は狭く感じられるのだけれど。円覚寺をぐるりと回ってから、今回の旅の目的の一つである、小林秀雄の墓参りをしに東慶寺に向かう。東慶寺円覚寺のような華々しさはなく、緑深い中にひっそりと佇んでいて、故人が眠る墓としては気持ちのよいのだろうと思われた。寺院の中には小さな季節の花々が咲いており、りんどうや姫蔓蕎麦、さざんかなどが美しかった。さて、小林秀雄の墓であるが、墓銘はなく、どれが小林の墓なのか迷ったものの、卒塔婆に書かれた「白洲明子」という名前から小林の墓を見つけることができた。ひっそりとした寺院の、いちだんとひっそりとした場所に納まっていて、しばし感慨にふけり、合掌する。墓石の前には白い花が供えられていた。墓の前で、「やりたいようにやるがいいさ。ただし天賦というものを考えてな。」と言われたような気がした。
北鎌倉から鎌倉へ歩く人は多く、途中の茶店で休憩しながら我々も秋晴れの気持ちよい小道を歩いた。鎌倉駅前で人がごった返し始め、小町通りは人で埋め尽くされていた。やはり鎌倉は景気がよいものだ。今回の第二の目的たる部屋探しをしつつブラブラと鎌倉の街を周遊し、日が暮れ始めるころに由比ガ浜江ノ電で向かう。由比ガ浜の海からの眺望は文句なく綺麗だった。砂浜でバーベキューをする団体や、犬を連れて歩く地元民、カップルなどが散らばっていて、風景に溶け込んでいた。風が少なく、海水の温度もぬるやかで、波の音が気持ちよかった。由比ガ浜近代文学館では中原中也展をやっていたものの、時間がなく断念。
そのあと江ノ島まで向かって、酒を飲んでは活魚を食らい、帰途に着いた。良き一日なり。