小林秀雄

生活感情の裏打がない

小林秀雄の対談を読んでいるだけで、今日もまた様々なことを考えさせられる。そこには嘘や衒いがないからだ。小林の中学からの友人である文人・河上徹太郎などが素直であると同時に衒いがたっぷりという感があるのに対して、小林にはそれがない。少年がその…

美は観念にあらざるなり

西荻窪でAさんと食す。Aさんは旦那のある女子で、彩色美しい絵本を描く人で、絵本出版社につとめている。絵本出版社に入って、業界のいい面、いやな面、さまざま味わっているらしいけれど、好きなことにたずさわって仕事できることは素晴らしことですな。 …

諺に宿る普遍

二人の友人から連絡が来て、最近写真を始めました、とかデッサンの勉強を始めようと思ってます、などと言われると、こちらまで何かを新しく始めたくなる心持ちになって、実にいいなあと思った。 写真を始めた女の友人は今日も三軒茶屋から下高井戸までの世田…

柳田国男の感受したもの

会社のドンチャン騒ぎのあとに、小林秀雄「信ずることと考えること」の講演を聴いていて、そこに柳田国男『故郷七十年』に触れている箇所があって、それは柳田氏が83歳ほどで口述筆記したものなのだけれど、そのときの思い出の場面についての言及が、強く…