熊本空港に降り立つ時の景観は牧歌的でいい。きれいに区画された田園、整然と配置された藍に塗られたトタン屋根たち、へ細長く走る白川・・・。
そして熊本市から日本3大松島の天草へ向かう。雨のおかげでせっかくの景観も映えなかったが、夏や秋に来ると楽しげな感じではある。
夜は下島といわれる天草市にある小粋ないけすの魚料理店で舌鼓を打つ。鮮魚と酒をたらふく堪能しても2人で7800円。東京なら軽く1蔓円は超えているだろう。しかも味は3割引きで。
そして田舎の夜はどこも同じ。静謐な闇の中でところどころに散らばった白熱電灯やら店じまいしている商店の取り残されたような小さなネオンがポツリポツリ。
天草も一時期は観光の集客も上々でホテルも上天草の第1橋、第2橋あたりに出て栄えていたが、今はそのホテルが潮風にさらされた廃墟のようなものも見受けられて一抹の寂しさを感じさせる。
日本の田舎に漂う哀愁を嫌って人は都会を目指す。取り残された田舎は活気を一層失っていく。小さな商店街はシャッターと化し、駅前は錆つき、高速インター周辺に特大のショッピングモールができる。金太郎飴のように似通った田舎の街並みにおける弁証法。脱却するの原動力はやはり個々の人間の活力、だと思う。