涙が・・

今日は友人の結婚式に行ってきた。恵比寿にある東京ウェスティンで、それはそれは華やかではあった。おれはこれまでも方々の結婚式に出ては、ギターで余興も何度かやっているけれど、基本的にこれらの行事に呼ばれるのはやはり億劫ではある。村上春樹が何かで、結婚式も葬式も呼ばれたくないと語っていたけれど、その心境はよくわかる。
きらびやかに装飾されたチャペルで、カメラをバシャバシャとたかれながら、キリスト者でもないにかかわらず、賛美歌を熱唱し、神父から祝福を授かるのも何やら尋常じゃない違和を覚えるのだ。特に最近は正宗白鳥を読んでいるから、なお一層のこと、中途半端にキリスト教を取り入れている神経に、嗚呼違和。
そうは言いつつも披露宴。友人である新郎は調子者で、皆に笑われるような感じの男であるのだけれど、最後に挨拶をするのに際して、涙ぐんで、二人は幸せにやって行くので暖かく見守ってください、特にじいちゃん・・、ばあちゃん・・、長生きしてください、と声にならない声で言い放った。それまでちょっと、からかったりして新郎を見ていた一座も、彼の言葉に深い感銘を受けたらしく、ちょっとの間卓上がしーんとなった。朴訥でも、言葉はやはり言霊ですから、たましいの篭った言葉は伝わるのだ。
家に帰ってから、『サトラレ』を観る。涙が自然と頬を濡らすのは、加齢のせいか、友人の言葉のせいか。想いは遥か、故郷のおばあちゃんに。