そして、ワシントン

明日はワシントンに立つ。短い旅路。
旅はいい。日本が相対化され、自分が相対化される。
何かの役割を背負って行くのは気が重いけれど、旅というのは普段考えないことを考える、いい機会なのだ。
いつかニューヨークを一人で旅したことがあった。これも短い旅だった。
ついてみると予約していたはずのユースホステルが、電気系統の故障で泊まれなかった。
バードランド、ヴィレッジヴァンガードブルーノートといったジャズバーを巡り歩いた。90歳になるレスポールの演奏も聴いた。そんな歳になっても好きなことをして生きているというのが、実に楽しそうで、牧歌的で、振り返るとノスタルジックな気分になる。
マンハッタンをぐるぐる回って、ハーレムの教会で美しいゴスペルを聴いた。
貿易センタービル跡地に行くと、父親や母親を失った子供たちの絵がたくさん飾られていた。晴れやかな青空の下、阿鼻叫喚が繰り広げられたとはとても信じがたかった。
様々な人種、文化、宗教を飲み込んで成立している国家、アメリカ。
その中枢、ワシントン。目指すはマサチューセッツ通り2520番地。