ライブ・フロム・ショーボート

フィル・ウッズの「ライブ・フロム・ショーボート」はなんでかこんなに暖かくて力強いのだろう。そして注がれているところの音楽的な眼差しみたいなものがとても優しくて、今日もそんなわけでターンテーブルに載せて聴き入っている。コロナビールをぐびぐびと嚥下させながら。
今日は会社でプーティウィッと声を漏らすのには何とか耐え、微弱な顔面の痙攣にとどまった。川上未映子が「株とか決算とかやっぱ(自分の世界と)遠いわア」なんて日記の中で書いていて、それはもう全く同感なのだけれど、好むと好まざるとに関わらず、順接にせよ逆接にせよ、おれの仕事はもろに「決算の確認・チェック」という枠の中に納まっているのであって、でもそれにもかかわらず、決算という言葉に対してセミの抜け殻ほどの愛着も感じないのはどういうわけなのだろう。たぶん船底に穴が開いた船に闖入してくる水をどうやったら効率的に外へ掻き出すことができるか、みたいなことをやっているにすぎないという認識がおれの中にあるからだと思うわけで、そもそも船体に穴が開いてるんだから補修が先だろ?みたいな話に普通はなるのだけれど、そこはなぜか縦割り的に度外視されていて、はいお前らは予算の範囲で政策作れよ〜、はいお前らは利権調整しながら法律まとめるんやぞ〜、はいおれらはそれちゃんとできてるか決算見ながら確認するからな〜っていう完全分業。どっかでぽっかり空けてる船体の穴もよく見極めんとひたすら自分の持ち場で水掻いているわけだ。
そんなんじゃノレないよ、とウッズなら肩をあげて優しく言うだろう。仲間の呼吸を捉えていなけりゃいい演奏なんてできるわけがないさ、ちがうかい?
ウッズ、また来日しないかなあ。